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とあるミュージシャンの引退報道に触れて思ったこと

そうですね、大変なこともあるけど、基本的にうちの雑誌って、人が不幸になる記事は載せないんですよ。“ナントカ砲”みたいに(笑)。その点では楽な仕事をさせてもらってると思いますよ。

 

去年の秋、ある大学の学生さんにインタビュー取材をさせてもらった。取材が終わった後の雑談中、金融系の会社から内定が出ているという彼から「雑誌の仕事って大変じゃないですか?」と尋ねられたとき、とっさに口に出たのが上の言葉だった。

 

実際この通りで、我ながらヌルい仕事をしてるなあと思いつつも、若い人の人生を幸せにする手伝いをしているという自負はある。

大学受験がうまくいかないことは決して人生の失敗を意味するものではないけれど、目標に向かって努力することや、それが功を奏して晴れて志望校の門をくぐることは、その人の未来への選択肢を増やすことにつながる。それを支える仕事に携わっていられることは、幸せなことであると思う。

 

自分が就活をしていた頃を振り返ると、とにかくマスコミ業界に潜り込みたくて、テレビ、新聞、出版と、業種もジャンルも問わず試験を受けまくっていた。件のナントカ砲の会社の門を叩いたこともある。

結果として、世間がイメージするところの「マスコミ」とは相当遠いところに腰を落ち着けたわけだが、罷り間違って自分がそんな週刊誌の業界に入っていたら、いま頃どうなっていたことだろう。想像したくもないが、自分の仕事とは何なのか、考えたりしているだろうか。

 

以前、フィギュアスケートの某トップ選手が未婚の母になることを認めるか否かというアンケートを件の雑誌が行ったときもどこかで書いたのだけれど、改めて思う。

他人の色恋や罪とは言えないほどの過ちを暴き、世間の憎悪を煽り、彼らの人生から選択肢を奪う仕事。たとえそれが金になるからといって、本当に社会にとって必要な仕事なのだろうか。それは業界だけではなく、社会全体に対しても問われるべきことだと思う。みなさん、嫌いな女ランキングとか、必要ですか?  家族でも友達でもない人の不倫、知る必要ありますか?