たいてい全部ただの日。

雨の日もとか風の日もとかいちいち言わないブログ。

ドクターフィッシュと私

いいネタがないなあ…と思うまま放っておいたら、最後の更新から半年以上経ってしまった。
このまま自然消滅もシャクなので、たまにはゴミみたいな記事もポストしておこうと思う。

 

さて。

 

「ドクターフィッシュ」と呼ばれる魚のことは、ご存知の方も多いだろう。学名をガラ・ルファという小魚の通称で、自然の状態では岩に付着する藻などを常食とするが、温泉で飼育されることにより人間の皮膚の角質を好んで食べるようになったという変わった食性を持つ魚である。角質除去による美容効果に加え、吸盤のような口で皮膚を刺激されることがセラピーにもなるとして、日本でも水族館や入浴施設などで利用されている。

 

私も数年前、新潟の水族館でこの魚に出会った。館内の一隅に設置された浅い水槽の縁にたくさんの子どもたちが腰かけて歓声をあげている。近づいてみると、体長3センチほどの魚が小さな足に7匹、8匹と吸い付いている。これはおじさんも体験してみたいではないか。

かねてから足の臭いに悩まされていた私。ドクターが足の角質をスッキリ取り除いてくれたら、何かが多少変わるのではないか。そんな淡い期待も込めつつ、靴と靴下を脱いで足をどっぷりと水に沈めると、水中に不穏な気配が漂い始めた。

そのときの様子を写真や動画に収めなかったことが心から悔やまれるのだが、その状況に近い動画がYouTubeにアップされていたので貼っておく。想像の助けになれば幸いである。

youtu.be

 

ドクターフィッシュが食べるのはあくまで皮膚の角質だけだというが、このときばかりはこのまま放っておいたら肉までいかれるんじゃないかと若干の恐怖を感じたほどだ。(実際は気持ちよかった)
隣には小学校1〜2年生くらいの、頭を丸刈りにした男の子が座っていた。
口を半開きにしながら、私の顔と魚群と化した足とを交互に凝視するその顔が、今でも忘れられない。

 

子どもたちの足と比べておっさんの足がなぜこうも魚たちにアピールしたのかはわからないが、魚の気持ちをラーメンに例えると、近所の店が幸楽苑ちりめん亭などのチェーン店ばかりで飽き飽きしていたところに、寸胴で猛烈に煮詰まった豚骨の匂いを振りまきながらホープ軒が突如出店したような感覚だったのではないだろうか。知らんけど。

世の中では多くの人々が、何者にもなれず、世間に余計なものばかり垂れ流しているように思える自分を悔いながら生きている。しかし、こんなおっさんの臭い足でも誰かの糧になっているかと思うと、少しは胸を張って生きようという気にさせてくれたフィッシュ・セラピーであった。(結論がおかしい)

 

ちなみに、足はあの頃と同じままくさい。

 

現場からは以上です。