たいてい全部ただの日。

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進撃の「20世紀末少女」

螢雪時代9月号、8月12日発売です。よろしくお願いします。

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さて。螢雪時代とは何の関係もないが、明日8月6日から国営ひたち海浜公園ROCK IN JAPAN FES. 2016が開幕する。私も7日(日)の回に行く予定なのだが、実は初日のチケットが取れなかったことを激しく悔やんでいる。初日のメインステージには誰あろう、あのBABYMETALが登場するからだ。

私はもともと、アイドルの類にはほとんど興味を持ったことがない。『イジメ、ダメ、ゼッタイ』のMVを初めて観たときは「こいつらはふざけてるのか?」と思ったくらいだが、気がついたらあの3人の女の子たちと白塗りのバンドメンの虜になっていたのである。

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私は、世間のドルヲタの皆さんが好きなアイドルをどんな感情で見ているのかよくわかっていないが、どうも自分は、なんだか娘の成長を見守る父親のような気持ちでベビメタの快進撃を見ている気がする。

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すでに2年前の映像だが、ちょっと前まで小学生だった女の子たちが外国に飛び出し、顔に闘志をみなぎらせて大群衆に立ち向かっていくのを目の当たりにして、おじさんは胸が詰まって涙がこぼれそうになってしまったのだ。ちょっとそこの人、気持ち悪いとか言わないでください。

BABYMETALについては、まがいものだとか、女の子たちが大人たちにアーティストを演じさせられているだけだとかいったネガティヴな評価がつきまとうことも知っている。しかし、やはり本人たちに相当なモチベーションがなければこれほど完成度の高いパフォーマンスはできないだろうし、世界を戦い抜くエネルギーも生まれないだろうと思う。また、どんな形であれ、いまや「伝統芸能」と揶揄されるほどに草臥れたジャンルとなってしまったヘヴィメタルに、いい意味である種の混乱と新しい風を吹き込んだのが彼女たちであることは間違いない。

 

話をちょっと仕事の方に戻すが、小誌9月号では巻頭特別インタビューとしてドラマーの川口千里さんに取材をさせてもらった。10代前半からプロとして活動していたが、YouTubeに上げたプレイ動画が世界中で話題になり、活躍の場を広げるきっかけにもなったという。

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(このとんでもなくすごい16歳の女性ドラマーには驚いた。俺が聴いた中で最高のドラマーのひとりだよ)

 

 上は、彼女のプレイをYouTubeで見たトム・モレロ(Rage Against the MachineAudioslaveなどの活動で知られるギタリスト)の一言。

現在早稲田大学の2年生でもある彼女がプロミュージシャンと受験生の二足のわらじを履きながらどんなことを思っていたのか、そのあたりはぜひ小誌9月号をご覧いただければと思う。

 

川口さんは1997年生まれ。BABYMETALのリードヴォーカルを務めるSU-METALこと中元すず香と同い年だ。YouTubeがきっかけでブレイクしたという点でも共通している。もしかすると、物心ついたころからインターネットが当たり前のように使われる生活を経験してきた彼女たちにとって、国境を越えて世界へ飛び出すことは、私たちの世代が感じるよりずっと軽いステップなのかもしれない。

人間、歳を取ると暗い話ばかりしたがるようになるものだが、かつては人類滅亡の日と噂された20世紀末に生まれた女の子たちが、国境も言葉の壁も涼しい顔をして飛び越えて行くのを見ると、未来に期待するのもそれほど悪いことじゃないような気がしてくるし、行く末を最後まで見届けたい気分にもなってくる。

ということで、じゃ、明日も頑張って生きていきましょう。