インスタント正義問題
このようなテレビ番組を観た。
時間がなくて最後まで観られなかったのだが、別に社会が昔と比べて極端に不寛容化しているという話ではなくて、今も昔も社会に一定数いる「自分の正義をピュアに信じてしまう人々」をどうするかという問題なんじゃないだろうか。
もちろん、昔と比べてその「正義」を実行しやすくなった、他の「正義の使者」と共有しやすくなったという環境の変化は大きいかもしれないけれど、俺の正義は他人にとっての悪かもしれないよ、ということを認識するだけでもずいぶん違う気がする。
米軍がISISの拠点を空爆するのが正義だというなら、身体に爆薬を巻いて市場に突っ込んでいく人もまた、自分の行為は正義の執行だと信じている。正義というやつはそうして、数えきれないほどの人の命を奪ってきたわけで。
藤子不二雄先生の短編で『ウルトラスーパーデラックスマン』という傑作がある。
藤子不二雄異色短編集〈3〉ウルトラスーパーデラックスマン (ゴールデン・コミックス)
- 作者: 藤子不二雄F
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社会の悪に対する怒りを新聞への投書で細々と晴らしていたサラリーマンの男がある日突然超人的な能力を手に入れて…という筋書きだが、オチも含めて非常に秀逸で、「正義」というものについて示唆に富む作品だと思う。